『Good Luck』　アレックス・ロビラ　フェルナンド・トリアス・デ・ロペス　ポプラ社

＜あらすじ＞

魔術師マーリンの号令で城に集まった国中の騎士はついに自分たちの力を見せつけるときが来たと喜びます。
その指令とは魔法のクローバーを見つけ出すことでした。
しかしそのクローバーが生えるのは国中の街を集めたよりも広い「魅惑の森」だと聞かせれた騎士たちはそんな広い場所で１本のクローバーを探すことなど不可能だと早々にあきらめて帰ってしまったのでした。
残ったのはふたり。
黒いマントの騎士ノットと白いマントの騎士シドでした。

ノットはクローバーなら地面から生えるのだから大地の王子ノームに聞けばよいと考えます。ノームに「魔法のクローバーなど生えない」と言われたノットは「自分は間違っていない。ノームが間違っている」と思い、また誰かに聞こうと考えます。そして湖の女王、木々の女王にも同じように「魔法のクローバーは生えない」と聞かされ最後に岩山の頂上から森を見渡し続けているストンの所へ行きます。そこでこんな石だらけの森にクローバーなど生えやしないと知らされ、自分に見つけられないのならもう一人の騎士シドにだって見つけられるわけがないと思い、もう魔法のクローバーなどどうでもよくなります。
それでも偶然に期待して森の中をうろつきまわるうちに魔女モルガナに出会い、取引を持ちかけられます。
その取引とは「魔法のクローバーのありかを教えてやるから自分にとって目ざわりなマリーンを殺してほしい」というものでした。取引に応じることにしたノットは魔女から教えられた場所へと馬を走らせるのでした。

一方シドもまずは大地の王子ノームを訪ねます。そこでこの森にはクローバーは生えないと言われるとなぜ生えないのか疑問に思い、再びノームに尋ねます。そして教えられたことを実行すると新しい地面にクローバーが芽を出すところを思い浮かべながら眠ります。土の次は水が必要だと考えたシドは続いて湖の女王を訪ね、女王が問題を抱えていることを知ります。自分のことより女王の問題の方が切実だと思ったシドですが、女王を救うことは自分を救うことにもになるのだと気づき実行します。次に木々の女王に「ちょうどいい陽の光」にする方法を教えてもらいます。植物を育てるのに必要な「土・水・日光」を手に入れるために労力を惜しまなかったシドはすっかりくたびれ果てていましたが、小さなハート形をした葉が４枚、朝の光をうけてきらきらと輝いているのをはっきりと想像することができ、幸せそうに眠りに落ちていきました。翌日、クローバーが生える期限まであと１日という中でシドはやり残したことはないかと考えます。そこで高いところから見れば何かわかるのではと思い岩山に登って出会ったストンに尋ね、石があってはクローバーは生えてこないことを教えてもらいます。そこで一日かけて細かい石まですべて取り除きます。できるだけのことをすべてやったシドはあとは明日の朝日を待つだけでした。
シドのところにも魔女がやってきますが、その甘い言葉に惑わされることはありませんでした。

クローバーが生えるという７日目の朝、いくら待っても芽が出てこないことにときおり不安が胸をよぎるシドでしたが、「思いつくかぎり正しいことをやってきた。クローバーが生えない理由はなにひとつない。」という確固たる自信が不安を吹き飛ばしてくれました。そこへ突然降りだした緑色の雨。毎年この時期に降る、人々にとっては悩みの種だったこのべたべたした雨こそが実はクローバーの種だったのです。

シドが土を敷き、水を引き、日光を当て、石ころを取り除いたほんの小さな場所に種は根を張り、またたく間に芽を出すと、数えきれないほどの魔法のクローバーになりました。

幸せとは、地道な作業をこつこつと続けてこそ、初めて手にすることができるもの。

一方幸運のクローバーのありかとそれを手に入れる方法を教えてもらったノットは・・・。
誰かに運を与えてもらうことしか考えなかったノットはマーリンの言葉にようやく自分が間違っていたことに気づき、どこかへ姿を消すと二度とその姿を目にしたものはいませんでした。

マリーンがシドにやさしく声をかけます。

「信念を貫き通したその決断と行動こそが運命を変えたのだ」

と。

シドは自分の手にした幸運の物語を人々に話して聞かせるために旅をし、行く先々で人に幸運を与えつづけました。




下ごしらえをしてきた４人のもとには必ず魔法のクローバーが生えてきます。
その日はもうすぐそこまできています。
そして４人はたくさんの人たちに幸運を与え続けるのです。

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