『しゃばけ』シリーズ文庫本最新刊『ちんぷんかん』を買いました。
去年も一昨年も今の時期くらいに文庫版が発売されましたが、ちょうどドラマが放送される時期だったから帯にドラマの写真が載っていました。
今回はそれがないのがちょっと残念。
でも帯がドラマバージョンになるときは最新刊だけでなく既刊の帯もドラマの写真つきになるから、すでに持っているにも関わらず同じものをまた買ってしまうことになるので、今回はお休みでもよかったかも・・・。
この『ちんぷんかん』は短編集なのでドラマの原作になるような長編ではないけれど、ぜひドラマ化してほしいお話があります。
最後に載っている「はるがいくよ」というお話です。
とっても切ないお話しだけれどきれいなお話です。
薄紅色の桜が舞う中での出会いと別れ。
一太郎のことを本当に好きだと言う女の子と
自分も女の子のことを小さいころから変わらずにずっと好きだよと優しげに微笑む一太郎。
だけど二人の一生の長さはあまりにも違いすぎて、そしてそれは一太郎と彼を常に見守っていてくれる者たちとの違いでもあって、去っていくものと置いていかれるものの両方の哀しさ辛さを一太郎は一度に知ることとなったのでした。
桜の薄紅色はやさしくて儚くて一太郎によく合います。
ぜひ映像化してほしいです。
原作が短編だから長編のようにいっぱいカットしなくてもいいし、丁寧に描ける気がします。
そして一つ一つのエピソードみたいなものも省略しなくていいし、回想シーンなんかも入れられそうだし。
このお話の中に大好きな青いビードロが出てくるんです。
一太郎と兄の松之助にとって大切な思い出の品です。
このビードロが出てくるお話が大好きで、たぶんシリーズの中で一番泣いたお話じゃないかと思います。
ドラマ化第1弾があのような設定になったのでこのお話がドラマになることはないだろうと思っていましたが、回想シーンとして『はるがいくよ』の中になら入れられると思います。
大好きな薄紅色の桜と空の色をしたビードロのお話、ドラマ化されないかな・・・。
パソコンに関する話だったのですが。
若だんなの一太郎の方は新作が出てました。
小説新潮の3月号に「ころころろ」というお話が出ているそうです。
前回のお話で☆が☆☆なくなってしまった若だんなのために仁吉さんがあるものを探しにいくお話だそうです。
単行本になるまで待てないので即注文しました。
古本で。
タイトルはかわいいけれど、どんなお話でしょう?
楽しみです。
「しゃばけ」シリーズの中のいろんなお話や一太郎などの登場人物の台詞をふとした瞬間に思い出すことがあります。
たいていが落ち込んでいるとき。
皆何かしら抱えているもの
自分ではどうしようもないことを抱え、それでも強く生きようとしている
そんな感じのシーンや台詞を思い出すのです。
特によく思い出すのが「ぬしさまへ」の中のこの文章。
同じ冬の風に吹かれても、肌に感じるその寒さは違うのだ。守ってくれるものの、あるなしで。
それでも風に転ばぬよう、足を踏ん張って立つしかない。独りぼっちの自分を、病がちの我が身を、己自身でただひたすら哀れんでしまったら、後は恨みの気持ちに頭の上まで埋まって、他は何も見えなくなる・・・・・・・。
なんでこんなに辛いんだろう。
どうして私だけが・・・。
そう思ってしまったとき、いつもこの言葉を思い出し、風に転ばないようにと踏ん張ります。
大丈夫、私は大丈夫。
こんなことになんか負けない。
大切な人も信じられる人も愛する人もちゃんといるけれど、それでも自分で踏ん張るしかないときがあります。
そんなときに私を支えてくれるのは今まで偶然に出会ったいくつかの音楽といくつかのお話、それらの言葉やメロディや歌声。
そのひとつひとつに出会えて本当によかったと思います。
出版社の公式サイトに「しゃばけ」新シリーズスタートのお知らせがありました。
22日発売の小説新潮に掲載されているそうなんですが、お値段820円。
いろんな小説や記事が載っていると思うけれど、読みたいのは「しゃばけ」だけなんですよね。
短編一作で820円はちょっと高いよなぁ・・・。
でも
若だんなの体に異変が!
とか
数少ない健康な部分だったかもしれないのに
このまま治らなかったらどうしよう
とか
ハンデを負った状態で状態で・・・
なんて書いてあったらめちゃめちゃ気になるじゃないですか!
読みたい!
単行本化されるまでなんて待ちきれません。
だったら小説新潮、全部しっかり読めばもったいなくないってことですよね。
(でも前に買った「yom yom」も結局まだ全部読んでない・・・)
「いちばんすきなお話は何?」
と聞かれました。
好きなのは「ぬしさまへ」の中の<空のビードロ>だとよく言っているのですが、最近のお話の中では「いっちばん」の中の<餡子は甘いか>が好きです。
このお話、一太郎のお話ではなくて親友の栄吉のお話です。
菓子屋の跡取りで、菓子作りだって好きなのに、いつまでたってもまともな菓子が作れない栄吉。
その栄吉がついに、一太郎の前で涙を流し、菓子作りをやめると決意したシーン、それからちょっとした事件があって、再び菓子作りを始めた栄吉が自分はやっぱり菓子作りが好きなんだとあらためて気づくシーンは私自身の経験と重なり、一緒に泣いてしまいました。
あとは「おまけのこ」の<こわい>も好きです。
理由は・・またあらためて書きます。